唇 寒(しんかん)集2

 

00年10月29日

週間ダイエット報告。順調。

「プッサン」は相変わらず挫折中。

どうも『絵の話』をクラシック絵画の解説に限定するのは無理がある。今書いている

のは「コレクター考」。しかし、こちらも今夜中にはアップできそうもない。さらに

画像を交えた画歴を作ろうかと企てている。油絵処女作、石膏デッサンから固定ポー

ズの人体油絵なども含めた大作。

塾のほうでは、「三田佳子の二男問題」をやろうかと思ったが、今日のテレビで「二

男が中学生のときに小遣い毎月40〜50万円」と聞いてばかばかしくなった。頭が

いかれている。話にならない。ま、「教育」などという段階ではない。自分が子ども

の頃のことを覚えていないのだろうか? 中学生にそんなに金が要るか? 最近のわ

たしの小遣いはおそらく月に400円にも達していない。借金をしないですませるこ

とばかり考えている。それにしても高2の息子とわたしの感想がぴったりあった。

「ああ、三田佳子の二男の友だちになりてぇ」

本日の更新はなし。わが学習塾のページもご覧ください。

とうよう塾ホームページ「かがやく子どもたち」です。先週「英語学習はこれだ!」

をアップしました。

 

00年11月5日

週間ダイエット報告。節食解除で食い過ぎ。71〜2キロを行ったり来たり。

「プッサン」は依然として挫折中。

11月3日。娘の大学の学園祭に行く。白金の明治学院大学。帰りに鷹美(今週の

「絵の話」のころに通っていた美術研究所)をちらと見る。変わらぬ様子。猫もいた。

11月4日。(話題の)長野県に潜入。と言っても噂の長野県庁を視察したのではな

く、佐久の梅野記念絵画館に喜多村知展を見に行く。遠かったぁ!(金がないので車

で日帰り)喜多村先生の絵はカタログよりずっといい。何度も言うが、わたしの絵を

褒めてくれた先生。4時間かけてやっと着く(午後1時半ごろ)。梅野館長は嵐のよ

うに絵の話をしてくれる。ナント3時間。しゃべりっぱなし。帰りは心配したように

渋滞に巻き込まれ帰宅時間は夜11時前。生きていたのが不思議なくらい。本音を言

うと、あの物凄く空気のいい佐久の森を少し散歩したかった。だって絵の話はほとん

ど知っていることばかりだし、館長の説はわたしと同じ。聞かなくても一目目を見れ

ばわかるでしょう。しかし、館長室の長谷川利行を見せてもらったのは嬉しかった。

 

そして本日先週ここで述べた「画像を交えた画歴」を作ろうかと思ったが、そんなも

の1日でできる仕事じゃない。絵を探すだけでも大仕事。少しずつやります。

と言うわけで本日の更新は『習作時代2』

 

00年11月12日

週間ダイエット報告。71.5キロ前後。

「プッサン」はおそらく来週にはアップ可能。

11月10日。銀座、京橋、新宿と廻る。12月上旬から銀座のリコーとくまざわ書

店の絵を入れ替え、町田の新しいビルで同時に個展をやる計画。その打ち合わせに銀

座。京橋は金井画廊の「みち展」(長谷川利行展は金がないのでやめた。なかなかま

とめて見られないから残念だが、鎌倉で見ているのでここは我慢)。新宿は日税ギャ

ラリー。日税では新情報あり。

年末にかけて日税が取り扱っている印象派などの複製画を破格値で放出するとのこと。

このチャンスに居間にモネの「印象・日の出」のでかい奴を一枚いかがでしょうか?

 

新宿では「ゴッホ素描展」を見る。やっぱりいい。どうもヨーロッパはいい。ヨーロッ

パにも売り絵はあるのだろうが、ちゃんとした絵もちゃんと認められている。今回の

長谷川展のカタログとヨーロッパのフォーヴの画集を見比べてみても、ヨーロッパに

は長谷川クラスがごろごろいる。しかも骨太で逞しい。生き抜こうとする気迫がある。

餓鬼の泣き言ではない大人の叫びである。どうも日本の芸術は弱い。明治以降の文学

でも泣き言のセンチメンタルが多い。味としては捨て難いが、何かもう一つ肝心なも

のが足りない。理屈ではなく、何がなんでも生き抜くというがむしゃらな迫力である。

共通するところは、まずちゃんと空間があり、質感があり、絵の厚みがあるというこ

と。ムードではない最低限の約束ができている。川がピンクで描かれていてもちゃん

と川に見えるし、船が浮かんでいる。緑の裸婦でもきっちり肉が描けている。ここを

見て欲しい。日本のインチキフォーヴ(長谷川利行はインチキではない)にだまされ

ていはいけない。

 

今週から「クロッキー会情報」をお届けします。

「なるび会」と言います。以前は「成瀬美術の会」だったのですが、書類を書くのが

面倒なので、「なるび会」としました。けっこういい名前・

町田国際版画美術館アトリエにて。

11月21日(火)/12月16日(土)/2001年1月27日(土)

以上3回が決まっています。時間は午前10時から午後1時まで。どしどしご参加く

ださい。私のスーパークロッキーの実演がご覧になれます。

 

本日の更新は『習作時代2』のページからさらにディテールのページをリンクさせた。

わが学習塾のページもご覧ください。

とうよう塾ホームページ「かがやく子どもたち」です。

 

JR線の中吊り広告に一つだけ深い色合い。原色をちりばめた殺伐とした週間誌の広

告のなかのオアシス。長谷川利行展のポスター「汽罐車庫」だった。あれが1か月間

ラッシュの車内を潤すのかと思うと、それだけで心休まる。

没後 60年 長谷川利行展●  

私は長谷川利行は日本油絵史上最高の画家だと確信しています。長谷川利行展をぜひ

見てください。絶対おすすめ。わがHPでは今度の長谷川利行展を見た感想「いい絵

は売れない―歿後60年長谷川利行展」をアップ中。

また、以前に掲載した「絵の話:日本のもっとも偉大な油絵描き=長谷川利行の絵」

も再掲載中。

10月14日(土)−11月19日(日) 東京ステーションギャラリー

 

00年11月19日

週間ダイエット報告。百グラム単位で減量進行中。テレビはダイエットの大敵。料理

とか食べ歩きみたいな、同じような番組が異常に多い。番組企画者は頭がないのか?

週間アクセス数報告(新企画)。わがHPはだいたい毎月500前後。1月約800、

2月515、3月444、4月568、5月633、6月669、7月507、8月

504、9月437、10月503、11月第2週155、11月第3週134。

月例経済報告。まだ生きてます。

長谷川利行展になんとか滑り込もうと考えているうちに最終日が終わっていた。ま、

鎌倉で見ているのだからよしとするか。

昨日、今日と東急子供の国近辺の新興住宅地を散策した。2日で6時間以上にのぼる

大冒険である。足ががくがくになった。8000万円前後の戸建てと巨大マンション

群。凄いエネルギーに満ちている。2つの多摩丘陵に挟まれた環境のよい住宅地だ。

新しいタイプのスーパーマーケットを拠点に歩いた。スーパーはアメリカを思わせる

広大な駐車場を有し、小さな丘一つをそのまま公園としている広々とした遊び場に隣

接している。

小学前の子供たちが思う存分遊んでいる。親も若い。不景気な日本の休日とは思えな

い活気。ベビーカーがあちこちにある。よちよち歩きの子供が鳩を追いかけている。

みんな笑っている。

立ち上がって大声で「馬鹿野郎ーっ!」と叫びたくなるほど平和。

こういう新しい住宅の壁にはどんな絵が掛かっているのだろうか?

「俺の絵しかねぇだろう!」

公園の角でスーパー・クローン・タブローの出店を開きたくなった。

 

今週の更新は「求道の画人・プッサン―右脳α波の筆触」

それから「なるびクロッキー会のお知らせ」ページを新設しました。

 

年末にかけて日税ギャラリーが取り扱っている印象派などの複製画を破格値で放出す

るとのこと。このチャンスに居間にモネの「印象・日の出」のでかい奴を一枚いかが

でしょうか? 私のスーパークローン(こっちは破格値とはいきません)とか。

 

00年11月26日

長谷川利行が日本洋画壇に与えた影響は計り知れない。ほとんどみんな長谷川からかっ

ぱらっている。どうせ相手(長谷川)は乞食同然の男、画壇からも世間からも忘れら

れるに決まっていると思って、好き勝手にかっぱらったのだろう。最初に思い浮かぶ

のは鳥海青児、他に梅原とか松本竣介とか切りがない(私も)。ま、「かっぱらう」

というのは言葉が悪いが、「学ぶ」とか「習う」ということだから一概に悪いとばか

りも言えない。長谷川の魅力に気がつかない絵描きもたくさんいるのだから、そうい

うのよりずっとましということだ。

その元祖・長谷川利行が慕ったのがヨーロッパのフォーヴィズム。最近フォーヴの画

集をよく見る。このページの「絵の話」でも近々フォーヴ特集を予定しているが、ま

ことに凄まじい絵画である。あんなものがよく認められたものだ。

フォーヴの画家に共通していることは若いときに相当クラシックをやったという点。

ル・サロンやローマ賞がまだ健在だったのだから、古典絵画を学ぶのは当り前だった

わけだ。よく「絵画の基礎、絵画の基礎」というが、あれは怪しい。私は「絵画のク

ソ」と呼んでいる。絵の先生の言うことより、美術館や画集で古典絵画を学んだほう

がいいと思う。でっかい実物のルネサンス絵画の前で隅から隅まで筆の跡を見つめる

べきだ。上野の西洋美術館に常設もあるし、名画展はしょっちゅうやっている。よー

く見ておいてから画集で模写をすればいい。画集からの模写でも驚くような発見がけっ

こうある。

 

週間ダイエット報告。ほとんど減量が見られないがリバウンドもしていない。むしろ

少しずつ減っている。やっぱり減量には食を控えるのが手っ取り早い。

週間アクセス数報告(新企画)。11月第4週118。

 

今週の更新は「今月の絵―最新裸婦と秋の風景」

次のなるびクロッキー会は12月16日と来年の1月27日。

 

00年12月3日

土曜日(12月2日)、上野の等迦展に飾り付けに行った。

朝の9時過ぎ。

美術館入り口の少し手前で、若い美術愛好家の女性・あじさん(ご存じの方も多いと

思う)に偶然会う。私とわかるとすがりついてくる勢い。ほとんど泣きそうである。

等迦展の初日に来てくれたのだ。しかし、初日は午後1時から。若い女性にすがりつ

かれそうになっ(実際には遠く離れていた)たので、私もつい嬉しくなり、飾り付け

なんかどうでもいいから、二人で銀座へでも行こうかと思ったが、やっぱりまずい。

とにかく50歳にもかかわらず、私は等迦会の男性若手作家なのだ。飾り付けなどの

肉体労働は率先してやらなければならない。立ち話10分でお別れ。

飾り付けが終わってから、東京国立博物館の「中国国宝展」に行く。博物館の常設も

すべて征服する。もうフラフラである。京橋の金井画廊に寄る予定だったが、余力ゼ

ロ。金井さんご免なさい(私が行っても仕事のじゃまをするだけだが)。

土曜日の収穫。当然第一はあじさんに会ったこと。

第二の収穫から。等迦展では、いろいろな絵があるが、みんな1年に一度大作を出す。

150号などもある。うまい下手はあるが、とにかく人一人が大きなキャンバスに絵

の具もたくさん使って筆をふるうのだ。金も時間も掛かる。最低でも5万円ぐらいは

掛かっているはずだ。もちろん絶対売れない。そういう絵が何百枚もある。謙虚に一

枚一枚見なくてはいけないと思った。

結論。絵はたくさん描かなくてはダメ。たくさんたくさん描かないと「描いててねぇ

な」ということがすぐばれる。先週も書いたフォーヴの画家でもマンギャンはもう一

つ足りない。マルケは描きに描いている感じ。

たくさん描いても売り絵を大量生産するのではダメ。本当に描くのが好きで描かないと

魅力ある絵にはならない。本当に絵を描くのが好きだなと感じさせる画家はヴユイヤー

ル。

博物館の常設は超贅沢。日本の絵画は仏画の次の部屋に伝雪舟の大きな花鳥図があり、

海北友松や狩野派の絵、尾形光琳、池大雅などの大作が並ぶ。次に北斎の役者絵が十

枚以上。客はほとんどいない。近代日本の洋画も日本画もゆったり見られる。書も一

級品ばかり。良寛もあった。こんな凄い本物がゆったり見られるのだから、現代の美

術ももっとましになりそうなものだが、こういうのをちゃんと見ている絵描きなんて

誰もいない。絵描きは馬鹿ばかり。

さらに凄いのが東洋館。お目当ての中国絵画は4階か5階にある。老骨に鞭打って階

段を上る。等迦展で張り切って働いたのですでにその日のエネルギーは使い果たして

いるのだ。中国絵画でも清朝のはつまらない(八大山人、石濤ならいい)。宋元画だ

と最高なのだが、残念ながら明の絵だった。しかし、明も悪くはない。上から見るウ

インドウケースに徐渭があるかも知れない。

あった!

誰もいない展示室で徐渭を独り占めである。「花卉雑画巻」。3回ほどじっくり見せ

て貰った。圧巻は葡萄図だが、他の絵もいい。思ったよりずっと薄い墨で一気に描い

てある。

さて、中国国宝展だが、目玉の菩薩像は思ったほど感銘を受けなかった。もちろん、

世界水準に達した一級品には違いないが、素材が石灰なので考えていたよりずっと白

かった。しかし、同じ系統の仏像にはゾクっとするほどいいものが4体もあった。観

音立像だったと思うが、その身体の線はどう見ても若い娘である。顔もいい。色香に

溢れているが、品もある。ほぼ等身大で造形性は申し分ない。私なんかだったら一生

が百あっても創り出せない彫像だ。ああいう芸術を見せられると仏教の輪廻転生でも

しなければ、あそこまでは絶対に達しないだろうと思わざるを得ない。一生が一つで

もアップアップなのに百はとても無理。素晴しい先人の業を見て敬服するしかない。

見られただけでもまことにありがたい。合掌。

 

週間ダイエット報告。71.0前後。明日から町田展。毎日3キロ弱の道(片道だけ)

を歩く予定なので、来週には70キロを切る! しかし、高校生が期末テスト(中学

生は終わった)のため、プールは行けそうもない。

週間アクセス数報告。11月第5週133。11月545。

 

今週の更新は「今月の絵―最新裸婦と秋の風景」

次のなるびクロッキー会は12月16日と来年の1月27日。

 

00年12月10日

町田の個展は突然決まってばたばたと終わった。やっぱり町田はいい。クロッキー仲

間の人がたくさん来てくれたし、塾の卒業生、近所の方々、私の絵を気に入ってくだ

さる人も多い。ここは第二の故郷である。考えてみれば、私は町田に一番長く住んで

いる。深川は小学3年生までだから9年弱。世田谷の代田が2年半。田無は正味で9

年ほど。新宿やら旗の台やら砂町などに4年ぐらい。他にフランスに1年、目黒に3

年。結婚して田園調布に1年半か? 子供が生まれるので町田に来たが、ここになん

と20年である。やっぱりどうしても子供中心の暮らしになる。学校があり、子供の

友達がいる。私自身は子供の頃あっちこっち引っ越したので、自分の子供ぐらいは引っ

越しの不幸を味あわせたくない。といっても町田の成瀬や金森を4回も引っ越した。

同じ町のなかだからご勘弁願う。

私の子供の頃からの恩師や友人も来てくれた。

上の写真で見ると案外カッコいい会場だ。実際は廊下みたいで落ち着かない。今日は

搬出があってたいへんだったので、更新は明日以降に早めにやります。「20世紀最

後の町田展と出品した風景」

週間ダイエット報告。依然として71.0前後。しかし、ここ十数年来の最低体重

70.4キログラムを記録。町田展会場までの3キロ弱の道は毎日ではないが4日は

歩いた。しかし、公約の70キロは切れなかった。

週間アクセス数報告。12月第2週116。なんとか100を超す。

 

次のなるびクロッキー会は12月16日と来年の1月27日。

 

年末にかけて日税ギャラリーが取り扱っている印象派などの複製画を破格値で放出す

るとのこと。このチャンスに居間にモネの「印象・日の出」のでかい奴を一枚いかが

でしょうか? 私のスーパークローン(こっちは破格値とはいきません)とか。

と、書いら、日税ギャラリーから案内が来て、大きい絵は対象外(らしい)。3号シ

リーズが対象で、なんと、50%OFF。詳しいことはお電話で。

03(5323)2119 湯谷さんか加藤さんにどうぞ。

 

わが学習塾のページもご覧ください。

とうよう塾ホームページ「かがやく子どもたち」です。

 

00年12月17日

「今日は搬出があってたいへんだったので、更新は明日以降に早めにやります。『今

年最後の町田展と出品した風景』」と書いてから、はや1週間。

本日アップしました。

 

16日(土)の午後、長野の梅野隆さんから電話を頂いた。梅野氏は日本でも有数の

絵画コレクターである。あいにく私は留守(近所にラーメンを食いに行っていた)で、

家内がお話を伺った。

このHPをまとめた「絵の話」(第4集)をお読みになって「この世に私(梅野氏)

以外にこんなにも絵を見ている人がいるのかと驚いた」と言ってくださった。

1ヵ月前、喜多村知先生の遺作展を見るために長野の梅野記念絵画館へ行った。その

とき、「絵の話」を差し上げてきたのだが、まさか読んでくださるとは思わなかった。

読んでくださった上に1〜3集まで欲しいといってくださった(しかし、これはもう

手元にない)。

梅野氏は絵画コレクターだが、私の絵を買ってくださることはまずない(と思う)。

長野でお目にかかったとき、私が絵描きだと知ると気の毒そうに私を見つめて「私は

生きている画家の絵は買わないんです。死んでしまった埋もれている画家を発掘顕彰

しています」とおっしゃる。まことに優しいまなざしだった。

もちろん絵はもともと売れないもの。私も50歳まで売れない絵を描いてきた。買っ

て貰えるなどと思ってもいない。ご安心ください!

しかし、それにしても嬉しいではないか。どこの馬の骨ともしれない貧乏絵描きのご

託を丁寧に読んでくださるとは。電話まで頂いてまことに恐縮である。絵の神様から

の今年最後のご褒美と素直に感謝致します。

これを励みに、1〜2ヵ月のあいだに第5集も作るつもりである!

週間ダイエット報告(最終回)。70.5前後になる。ホームページの力を借りなく

ても順調に身体が維持できそうなので、報告はもう止める。今年はたっぷり泳いでい

るし、歩いているので喘息もなさそう。

週間アクセス数報告。12月第3週120。そろそろ正月休み。去年の年末年始は1

週間で663という記録。今年も多いかもしれないから傑作選でもアップしておきま

しょうか?

 

00年12月24日

2〜3日前から「フォーヴ」を作り始めた。しかし、今週はとても間に合いそうもな

い。年内には何とかなると思う。

さっきNHKの「新・日曜美術館」を見ていた。若沖は半分も見られなかった。各地

の展覧会を紹介するアートシーンは「現代アート」ばかりでだんだん眠くなり、最後

の所は本当に眠ってしまったようだ。

アートシーンのなかで営利目的ではないギャラリーが紹介されていた。「営利目的」

とは何だろうか? 実に不思議な言葉だ。また、そのギャラリーは閉じるという話。

財政的援助がないと続けられないというようなことをいっていたようだ。最近流行っ

ている「ボランティア」というのもどうも納得できない。

人が活動する以上は必ずお金が掛かる。活動しなくても生きているだけでお金は掛か

る。たいていの人は掛かるお金以上に「営利目的」で仕事をしているから楽しく暮ら

してゆけるわけだ。それが汗を流して仕事をしてお金をとらない、というのはどうい

うことなのだろうか? 営利目的でないギャラリーとかボランティアなどというのは

やっぱり理解できない。

たとえば、中学高校生のボランティアというのがある。奉仕活動などという。これは

少し理解できる。未成年の学生が勉強の合間に社会奉仕をする、実に理想的な活動だ。

しかし、裏には保護者がいる。保護者は営利活動をしている。当り前である。

町田の版画美術館でも、アトリエの使用は営利目的はいけない。この前私の作ったポ

スターは貼って貰えなかった。営利の匂いがしたらしい。その断わられたポスターは

このHPの「クロッキー会」のページとそっくり同じなので、皆様じっくりご検討い

ただきたい。私は版画美術館のアトリエで5年以上クロッキー会を主宰しているが、

私の赤字は10万円を遥かに超えている。もっともときどき絵が売れるので続けられ

るが、売れるのは滅多にできない傑作ばかりなのだから、はっきり言えば、原則売り

たくはない。しかし、裸婦は描きたいから続けている。これからももちろん当分続け

る。

資本主義社会のなかにどっぷり浸かっていて、一人前の大人が営利目的以外に活動を

するというのは奇異(ここでは若沖の絵は直接関係ない)である。おかしい。しかも

そういうときは、どこか営利目的は「悪」で、非営利は「善」というような雰囲気が

漂う。銀行ギャングは誰が見たって完全な悪だが「営利目的の活動が悪だ」というの

は市場経済に生きる健全な大人の理念とは言い難い。

第一、市役所の方々は公僕とか何とか言いながら、死ぬまで保証付の素晴しい給与が

あるではないか。もちろん、「それならお前も試験を受けて市役所に入ればよかった

だろう」と言われれば、返す言葉はない。人生の敗北者である。

ソビエト連邦がなくなりベルリンの壁が崩壊した今、われわれはもう一度じっくり資

本主義社会のなかの活動というものを考え直し、非営利というわけのわからぬ思想を

再検討したいものである。

そう言えば、若い頃のマージャン必勝法を思い出す。「運のあるときに稼ぐだけ稼い

でおけ。すぐ泣きたくなるほどツキは落ちる」。

と、長くなったが、われわれ市場経済のなかで好き勝手に筆を操る無茶苦茶絵描きが

どうやって絵を続けるか? 俺たちはまったく新しい意識をもった絵描きにならなけ

ればならない。本当に世の中に生き、あえぎながら暮らす絵描きだ。北斎や広重はそ

うやって自分の絵を描き続けた。この点で私は長谷川利行より偉大である。

週間アクセス数報告。12月第3週93。とうとうを100を大きく割り込んだ。

ま、こういうこともある。

 

次のなるびクロッキー会

2001年の1月27日、2月10日、24日(すべて土曜日午前中)。

 

2001年1月7日

1905年、マチス36歳、マンギャン31歳、マルケ30歳、ブラマンク29歳、

デュフィ28歳、ドラン25歳。このほか数名の若者たちの絵がサロン・ドートンヌ

の一室を飾った。彼らの絵は丁寧に塗り込められたフランスアカデミズムの画風から

は遠く離れたものだった。この1905年前後の数年にわたるこの若者たちの画業を

フォーヴィズムと呼ぶ。

フォーヴとは何か? それは若いエネルギーが体力で原色をキャンバスにねじ込んだ

パワー絵画。情熱の爆発。

日本では1930年頃から鬼才溢れる若き絵画の戦士がフォーヴに挑んできた。その

魅力はどこにあるのか?

現在の日本の腐り切ったインチキ写実(=写真絵画)大隆盛の真っただ中で絵画の原

点を問う!

絵筆を執る若い画家はもちろん、コレクターの方々など絵画を真に愛するすべての日

本国民に、写実絵画ぎりぎりの原点を見直していただきたい。

21世紀初頭にお送りするイッキ渾身の「絵の話」は「フォーヴ!」であります。

 

週間アクセス数報告。1月第1週117。1月2日「5」、3日「7」という記録的

低アクセス数。「イッキ描き」の危機か?(まったく止める気はありませんでした)

と思ったら、1月5日、驚異の「40」。おかげで100を軽くクリアしました。

 

01年1月14日

まことに中学生の教材には舌を巻く。

自分の無知を晒してしまうのであまり言いたくないが、「画龍点睛」には驚いた。中

学1年生の教材である。3年ほど前「絵の話」で龍の絵を取り上げたが、そのなかで

初め「画龍天晴」と書いた。親切な方(その後もメール交換などあり)からメールを

頂き、「天」は「点」とのご指摘を受けた。これだけでも十分恥ずかしいが、この水

曜日に中1の授業で「晴」が「睛」であることを知った。日偏ではなく、何と目偏で

ある。国語の評価が5の中学1年生(12〜13歳)は「画龍点睛」と綴れるのだろ

うか? まことに驚嘆に値する。

さらに中3の授業で木工家具職人のジョージ・ナカヤマさんという人の話。家具を作

るとき林の中で木を探すところから始める。そして、木目、色、形などを十分生かし

た家具を作るという。もちろん、何十年、何百年と使えるようなしっかりした家具で

ある。

「画龍点睛」といい、ジョージ・ナカヤマさんの話といい、もう何年間にもわたって

中学生に教えてきた教材なのだ。思い込みというのは恐ろしい。「画龍点睛」など何

十年に及ぶのではないか? 授業中には答を確認するのでさすがに「天」はやってい

ないと思うが、「晴」は絶対に間違えていた。

本日の主題はジョージ・ナカヤマさんのほうである。この授業は昨日やったばかり。

まったく情けない。こちらは明らかな間違えではない。だから中学生の受験には関係

ない。

つまり、われわれはあまりにも安直なものに囲まれ、そういう道具を使い、何の疑問

もなく月日を重ね、骨の髄まで大量生産人間に成り下がっているのではないかという

危惧である。暮らしている家も安普請だし、壁は印刷の壁紙(ビニールか)で、安物

のベニヤに貼ってあるだけ。昔の家より地震には強いのかもしれないが、情けないほ

どの無機質。最近は食べ物までレトルト、即席だらけ。

これでは「いいもの」はできない。少なくともオリジナルなものを創り出そうという

絵描きだったらもうちょっと気をつけなければいけない。

父は55歳のとき茨城県の水海道市に家を買って引っ越した。その家は古い農家だっ

た。びっくりするような旧家ではなかったが、ちょっと驚くような太い柱や梁があち

こちに使ってある。父はその家で数十万円はしそうな茶碗で宇治の玉露を飲んでいた。

「こういうところに住んで、こういう食器を使っていないといい絵は描けない」

と言っていたが、最近やっとその意味がわかりかけて来たか?

私の母方の田舎は山梨県の塩山市。旧家だった。子供の頃よく預けられていたが、こ

の家は凄かった。今は壊してしまったが、県の重要文化財になるような本格的な農家。

黒光りした太い大黒柱が土間の真ん中に生えている。近所の人が来ると訳のわからな

い方言が寒々とした土間に響きわたり、縄文時代から変わらない1万年の暮らしのな

かに浸れたものだ。今の子にはあんな土の感触は味わえないだろう。考えてみれば贅

沢なものである。

その田舎からわたしがもらったものは古い文机と文具入れ。明治前期か江戸時代のも

のだと思う。これはわたしの唯一の宝物だ。もっとも、普段はキャンバスが積んであ

る。正月の年賀状はこの机で書く。

 

ところで、本日平塚美術館に行く(今日は正月以来初めての全休だった)。岸田劉生

の装画などの特別展と常設もその関連作品だった。鳥海青児の初期作品を久しぶりに

見たかったが鳥海の絵は後期のものが2点だけだった。しかし、30歳頃の黒田清輝

の海の小品が2点(わたしの海の絵に似ている。歳の順ならこっちが似ているのだが)

と万鉄五郎の作品がけっこうあり、万はいい。図書室で万の画集をちょっとめくって

みたが、万は早稲田から東美(今の芸大)へ行っていた。若い頃の習作は相当描けて

いる。あれなら後期の油絵も悪い筈もない。空気が描け、光が描けている。絵の具が

しっかりついているということだ。

美術館から海まで歩いた。速足で往復1時間と10分。海にいた時間は10分だけだっ

た。しかし、後方に富士山がくっきり見え、左は三浦半島、右は伊豆半島、正面に大

島。雲は少なくなかったが、見事な冬空で

「やっぱり海はいい!」

本日は贅沢させて頂きました。

……と更新はできない。

予定はいろいろあり、「フォーヴ」の続きで「ヨーロッパ絵画の堅牢さについて」ま

たは「宋元の中国絵画と日本の初期水墨画を比べて、堅牢さを見る」など当分は絵画

の堅牢さシリーズで行くつもり。

また当分休めないので、週日の午前中に頑張るつもりだが、ダメかもしれない。

 

週間アクセス数報告。1月第2週126。

 

次のなるびクロッキー会

2001年の1月27日、2月10日、24日(すべて土曜日午前中)。

 

01年1月27日

甥の結婚式のため、明日1月28日の更新はありません。

スピーチを依頼されているので、人生の先輩からしっかり説教を並べようと張り切っ

ていると、甥からの注文「おじさんは面白い人だから期待しているよ。なんだったら

落語でもいいよ」との連絡。

まことに人生は喜劇であります。

ばかばかしくてハチャメチャな裸踊で、披露宴をぶち壊してやるか!

……人を笑わすというのは難しいのです。本当にどうしよう?

 

「絵の話」は頭に浮かぶいろいろな絵のことを記す。記すといってもこのHPにアッ

プするには多少手間が掛かる。初め、本文を書く。その本文にあわせてデジカメで画

像をとる。適当に配列する。思ったとおりゆく場合もあるし、初めの構想とは全然違

う場合もある。違ってはいても意図しない効果が出ることもある。

しかし、とにかく初めの構想は瞬時に頭をよぎる。これを温めて膨らましHPに作り

上げるにはちょっと根気が要る。根気! ご推察のとおり、わたしのもっとも苦手と

する分野である。わたしは「根気」ではなく「イッキ」なのだ!

この前から「堅牢」について書こうと思っている。もちろん書く気はある。おそらく

書くと思う。2回ぐらいにわたる大作になるような気配だ。しかし、なかなか始まら

ない。「堅牢」の前は尾形光琳をやる予定だった。今日NHKの「新日曜美術館」を

見ていたら「ロートレック」をやっていた。そうしたら、「ロートレック」を書きた

くなった。まことにいい加減。

どこからどう見てもわたしより説得力のありそうなどこかの大学教授が「ロートレッ

クの絵はギリシャ彫刻のような美しさを追求したものではない」などと言っていた。

馬鹿やろう! ろくにギリシャ彫刻も見たことないくせに変な話の引き合いに出すな。

今日も画面に出ていたがロートレックの「ル・アーブルのスター酒場のイギリス娘」

をよく見てみろってんだ。あの優雅な線描はギリシャ彫刻そのものではないか。本当

のギリシャを知りもしないで全国放送でしゃべるな、と言いたい。

それにしてもどうして、尾形光琳が出てきたのだろう? 実はわたしは昔から光琳を

よく見ていた。父がたいへんな光琳びいきだったので、ついわたしも見てしまうこと

になる。いつの間にか自分の絵に光琳の構図を拝借していることもある。きっとそん

なわけで光琳の話がしたくなったのだろう。しかし、わたしは光琳なら俵屋宗達とか

弟の尾形乾山のほうが好きだ。ここは父と違うところ。宗達や乾山のほうが女性にも

てなかった節がある。光琳はもてた。父とわたしを比べてもどうも父のほうがもてる

と思う。はっきり言って私は全然もてない。だから宗達や乾山に引かれる。ところで、

加山なにがしを現代の琳派とか評しているが、いったいどこが琳派なのだろうか? 

私にはさっぱりわからない。あんな貧相な琳派は知らない。琳派はもっともっと雄大

でおおらかである。少しぐらい線がはみ出していても気にしていない。そこが味になっ

ている。加山琳派は全部きっちり塗ってあってはみ出しなんてない。身分がしっかり

保証されている大学教授に琳派はわかるまい(芸術だってわかりはしまい)。わかっ

てたまるかと言いたい。

本当に美しいものは不安定のなかから生まれるのだ。

ところで、本日の更新だが、全然ない。しかし、わが画友の小野某が自分のHPを新

設するにあたり、当分わたしの「絵の話」のバックナンバーを掲載してくれることに

なった。そのため、「絵の話」を転送するのに面倒だからわたしHPを使うことにし

た。半分は昨日終わって後半分今も掲載中である。2週間ぐらいはこのまま行く。そ

の後小野ページでわたしの「絵の話」のほとんどが常時見られることになる。よろし

くお願い致します。

そのため、しばらく「クローン美術館」はお休みになる。この間に「クローン美術館」

のほうも少し直すつもり。新収録作もあるし、ウインドウズバージョンでは映りにく

いページもあるので修復する。

 

週間アクセス数報告。1月第3週144。増えている。

 

01年2月4日

今週も「絵の話」の新作はできない。嘘偽りなく今忙しいのだ。今日は塾のチラシの

印刷をしていた。わが塾のチラシは90%私の手造り。コピーライター、レアウトか

ら印刷物を紐で縛るところまで自分でやる。最近は要領がよくなって20時間ぐらい

で完成する。しかし、ぎりぎりまでダラダラしているので、折り込み屋さんに渡す前

日は大車輪になる。しかも、チラシが失敗作だと応募が全然来ないこともある。学生

時代は努力すれば必ず成績が上がるが、一般社会ではいくら努力しても金を掛けても

ダメなときはダメ。当り前のことだが、まったく泣きたくなる。実はこの20年間で

チラシがうまくいったのは3回ぐらいしかない。そのうえ、うまくいっても毎年同じ

デザインではダメで、チラシは3年に一度は大きく変えなければならない。

忙しい合間に小林信彦の「おかしな男」を読んだ。映画「男はつらいよ」の寅さんこ

と渥美清の話。けっこう面白かった。しかし、「男はつらいよ」1本分の面白さはな

い。私は「男はつらいよ」47作全部を見ている。

小林さんの価値観と渥美清の価値観は相当違うみたいだ。私は小林さんはいろいろな

ことがわかっていないな、と思った。第一山田洋次監督のことをまったく理解してい

ない。おかしな人だ。でも英語の本を原文で読んでいるみたいだから尊敬します。

 

週間アクセス数報告。1月第4週137。甥の結婚式のため、土曜日のカウントが抜

けているので、けっこう多い。ところで、甥の結婚式はまずまずだった。

1月第5から2月第1週143。

 

01年2月11日

今週は「絵の話」も更新できないし、表紙の絵も変えられない。本日は6時間授業だっ

た。夜は20分弱で800m泳いできた。ふらふらである。しかし、水泳はものすご

くストレス解消になる。特にダッシュを入れると気分爽快。

夜の水泳に時間がなかったのはNHKの『新日曜美術館』を見るため。本日は白隠禅

師がテーマ。そのあとすぐ日本テレビの『知ってるつもり』は将棋の村山聖の話。2

時間テレビに縛られた。

どうも白隠のほうは食い足りない。解説の明治学院大学(娘が通っている=来年度の

授業料が悩みの種)教授はなかなかのハンサム。黒ずくめの洋服も決まっているし、

口元の髭は手入れも行き届き、けっこうダンディ。しかし、取り上げているテーマは

武骨な禅僧の荒々しい生涯。あれでは全然似合わない。ま、どうでもいいことなのだ

ろうが、われわれ素人には(解説の中味が)頼りなく見える。

それにしても白隠の空間は凄い。一気呵成に見える筆触もよく見るとけっこう溜めが

ある。一筆一筆が生き生きと躍動している。あれなら何百年たっても色褪せることは

ない。大したものだと思う。

話のなかで雪舟との比較があった。雪舟は禅僧というより絵師としての意識が強かっ

た、というようなことを言っていたが、私は雪舟も自分は禅僧だと思っていたと思う。

特に雪舟の晩年の線は禅僧でなければ引けない線である。

ところで、われわれは禅僧になれるのだろうか? 村山聖は29歳の若さで死んだが、

立派な一禅僧であった。

 

週間アクセス数報告。2月第2週132。ダイエットはまずまず維持している。ほん

の少しずつ減量している。経済状態は最悪のままだが、回復の兆しがある。来年度は

本ぐらい自由に買えるかもしれない。

 

次のなるびクロッキー会

2月24日、3月10日、24日(すべて土曜日)、4月4日(水)、14日(土)。

時間は午前10時から午後1時まで。

 

わが学習塾のページもご覧ください。2月5日に大々的に更新しました。

とうよう塾ホームページ「かがやく子どもたち」です。

 

01年2月19日

今週は中学3年生の都立高校入試直前と中学2年、3年の学年末試験が重なって、土

曜日、日曜日連続で5時間授業が入った。そのうえ、久しぶりに本格的な風邪をひ

いてしまった。中学生に風邪を移すとえらいことなので、咳を我慢していたから苦し

いの何の! そのせいか昨夜は8度近くまで発熱した。だから更新はまったくできな

い。本当は中3の授業などやらなくてもいいのだが、直前にやったところがけっこう

試験に出たりするのだ。試験前はいくら気楽な中学生でも多少は真剣になる。だから、

案外役立つことが多い。

昨夜の「新日曜美術館」は見逃した。夜9時からだとばかり思い込んで、テレビをつ

けたら音楽の時間だった。夜は8時からなのだ(朝は9時から)。ユトリロの母親バ

ラドンの話。日税ギャラリーの湯谷さんがバラドンをひいきにしているので是非見て

おこうと思ったのだが、残念でした。

ところで、図書館で借りて来た古い「新潮45」(去年の12月号)に放っておけな

い記事があった。「『ピカソ』は女性への憎悪を表現した」という表題で木原武一と

いう評論家(美術評論家とはなっていなかった)の一文。この話は画像入で「絵の話」

にまとめようと思う。しかし、「絵の話」をちっとも書かないので書きたいことがた

まってしまって困る。「堅牢」についてもまだ書く意欲はある。

ピカソのことは「特集・『20世紀の巨人』は死んだか」といういくつかの論説のひ

とつ。ピカソのほかにサルトルとかレーニン、フロイト、アインシュタインなどが取

り上げられていた。それぞれ筆者は別。

木原レポートはピカソに対して大変過酷な論調。認めていない。しかし、これはなか

なか勇気のある発言で、一般のピカソ観の本音を語っているようにもとれる。だから、

私としては非常に参考になった。「一般のインテリはこういう目で絵を見ていたのか」

と納得できる。ちゃんと正直にピカソの感想が語られている点は好ましい。もちろん

中味はデタラメである。

「絵の話」に書くからここでは最低限のことを言っておくが、ピカソの偉大なところ

は男女のことを描いた点。これがわからなければ始まらない。ピカソは描きたいもの

を描きたいように描いた。評価されたのは運がよかっただけ。しかし、描きたいもの

を描き続けることは至難である。嘘だと思ったらやってみな。

 

週間アクセス数報告。2月第3週131。ろくに更新しないのに、多数のご訪問、ま

ことにありがとうございます。近日中に必ずや、ご恩に報います。「絵の話」の全バッ

クナンバー掲載は2〜3週間後に実現しそうです。

 

次のなるびクロッキー会

2月24日、3月10日、24日(すべて土曜日)、4月4日(水)、14日(土)。

時間は午前10時から午後1時まで。

 

01年2月25日

また「新潮45」をパラパラめくっていたら「インターネットは便所の落書き」とい

う記事に出会った。ひどい台詞が出たものだ。ま、しかし私はほとんど他の人のホー

ムページを見ていない。見たくてもパソコンが古くて見られない。テキストは文字化

けしてしまうし、ちょっとよさそうな画像を見ようとするとすぐアクセスエラーを食

らう。まことに困ったものだ。近いうちに娘がパソコンを買うらしいからそっちで見

せてもらう予定。

「新潮45」の記事によるとホームページには編集者がいないから便所の落書きにな

るとのこと。本当だろうか? 木曜日の夜に見たNHKの絵の番組は、おそらく超優

秀な編集者が作ったのだろうが、呆れ返る出来だった。とにかく素材がなってない。

現代の中国の女流水墨画家が道元の像を描くドキュメント。出てくる絵がすべてイン

チキな売り絵。絵がわからないということは悲しいことである。あんなものを永平寺

に飾るのか? 永平寺の坊さんも悟りとは程遠いところにいるらしい。一目見ればわ

かりそうなものだ。インチキ坐禅で目が節穴になっているにちがいない。道元が見た

ら外に放り投げるんじゃないか。

そう言えば、この前鑑真和上の番組で唐招題寺の室内が映っていたが、あの襖絵も酷

い青だった。海の絵が描いてあるのだが、あの青はない。おそらく高価な絵の具が使っ

てあるのだろう。実に勿体ない。高名な日本画家の絵だ。ああいう人は中国や日本を

はじめ、ヨーロッパの古典絵画を見ていないのだろうか? 話ではドイツなどへ何度

も行っていると聞くが、昔の絵は見ないのだろうか? まことに不勉強。

いつも言うが、モーツァルトやベートーベンを聴かない音楽家はいまい。流行歌を作

る人だってよく聴いていると思う。だって音楽の人はジャンルを超えて音楽が好きと

いう感じがする。絵描きは本当に絵が好きな奴は滅多にいない。

本当の絵描きは滅多にいないということ。

そして、本当の絵描きでは生きていけない。低レベルな文化国家。

私が、逞しく生き抜き、本当の絵画を伝える唯一の「生活する」絵描きになります。

絵を買うみなさん、私しかいませんよ。くれぐれも。

とは言っても、最近かなりヤバい(家族にも捨てられそうな)ので、4月頃までは本

気で本業に打ち込みます。絵の発表が出来ず、まわりの方にご迷惑をおかけしており

ますが、どうかご容赦ください。とにかく絵では食えませんので。

と、本日の更新もこれだけ。しかし、高校入試も終わったので、そろそろいつもの生

活パターンに戻れそう。早ければ、今週中、遅くとも来週の日曜日にはちゃんとした

ものが更新できる予定である。

 

週間アクセス数報告。2月第4週157。

 

次のなるびクロッキー会

3月10日、24日(すべて土曜日)、4月4日(水)、14日(土)。

時間は午前10時から午後1時まで。

 

01年3月4日

今朝「モーニング娘。」のライブ録画を見た。「恋のダンスサイト」という歌では、

ホームページの更新はセクシービームでやるらしい。「モーニング娘。」ならセクシー

ビームでも何でもいい。嫌らしい感じはない。われわれの更新はそういうわけにはい

かない。実に情けない。

今日は久しぶりに「絵の話」を更新した。ピカソを取り上げた。世間はロートレック

が話題だ。いっぽう、ルノアールも頑張っている。ピカソはちょっと時期外れ。特に

ロートレックは是非やりたい。近日中に取り上げる。「乞う、ご期待」というところ

で、なぜ今ピカソかというと、ついこの前「新潮45」(00年12月号)でピカソ

の評価にケチをつけている人がいたから。

また、久しぶりに「今月の絵」を更新した。ほとんどの絵は表紙に使った絵である。

 

週間アクセス数報告。2月第5週122。

月間アクセス数:1月604。2月552。

 

01年3月11日

本日も先週に引き続き「ピカソ」の続編。先週は導入程度で終わったが、今週は入魂

のピカソ論。絵画の神髄に迫る。

本業の塾は塾生獲得の最盛期だが、あまり成果なし。3月13日(火、友引!)に最

後の新聞折り込みを仕込んである。これでダメなら、……実に困る。ま、おそらく門

前市をなすでしょう。

 

週間アクセス数報告。3月第2週115。

 

久しぶりのダイエット報告。69.2キロまで減量したが、最近妙な器械がわが家に

来た。「体脂肪計」という。身長や体重や年齢を入力して測ると「標準」とか「軽肥

満」「肥満」などと出る。何と私の計測結果は「肥満」! この8ヵ月あまりに及ぶ

6キロもの減量は何だったのか? 大笑いである。でも水泳は気持ちいいから続けま

す。バカ!

 

次のなるびクロッキー会

3月10日、24日(すべて土曜日)、4月4日(水)、14日(土)。

時間は午前10時から午後1時まで。

 

01年3月18日

「現代文の新研究」という国語の参考書は30年以上も昔にわが恩師・横尾三雄先生

に紹介された。石井庄司、藤岡改造両先生の渾身の傑作である。最近は書店でも見な

い。何回か名前も変わった。今手元にあるのは1989年に改訂され1991年に第

2刷発行の「新現代文の重点研究」となっている。中身はほとんど変わっていないよ

うだ。本のなかの指示通りにこの本をきっちり仕上げれば東大の試験も合格すると思

う。

ぱらぱらめくっていたら「ロダンの言葉」が教材として取り上げられてあった。

この「絵の話」の源泉はどうもここらにあるらしい。若い頃の読書というのは恐ろし

いものだ。今だに強い影響を受けている。

この教材のなかでロダンは人々が絵画を誉めたたえるが、そういう絵画には美しい素

描も色彩もないと言い、ただあるものは「唯一なる美」、すなわち「真実」「深い思

想」「激しい感情」だけだと断言する。例にラファエロの素描を示して、人々が賛え

るのは「多少の巧妙さを有する均衡のとれた線条」ではなく、「ラファエロの眼によっ

て眺め、彼の手によって表現された、魂のえもいわれぬ晴朗さ」であり「彼の心から

ほとばしり出て一切の自然の上を流れ被うかのように見られる愛」であり「この優情」

なのだと言い切る。ロダンは当時のアカデミズムの巨匠たち(ブグローやジェローム)

を批判しているのだが、彼らはラファエロから「線条の抑揚」とか「人物達の身振り」

を借用しようと企て、「ただもう無味乾燥な模造画を製作するに過ぎなかった」と語っ

ている。

私も、さすがに名著「現代文の新研究」で要約法をマスターしただけのことはある。

上の要約も東大合格級!?

ところで、わが国のアカデミズムはほとんど「ドラゴンボール」のサタンとか、「コ

ナン」の毛利小五郎のような存在だから問題にする気もないが、けっこうまともな絵

描きでも印象派やピカソなどの色や線ややり方にとらわれている。ちょっと情けない。

重大なのは、100年以上も前にロダンが言っているとおり「感動」なのである。線

の面白味とか「アート」などという皮相なことに迷っていてはいけない。いったい何

を表現したいのか、何が描きたいのか、正直にならなければいけない。先週アップし

「ピカソ」でも私はそのことが言いたかったのである。

本日の更新は「今月の絵」。裸婦の新作を6枚アップした。

 

週間アクセス数報告。3月第3週118。

 

次のなるびクロッキー会

3月24日(土)、4月4日(水)、14日(土)、5月4日(金)。

時間は午前10時から午後1時まで。

 

01年3月25日

画友・小野普治夫氏の尽力により、ついに、わがホームページの大黒柱「画像つき絵

の話」のバックナンバーがほぼ完成した。「龍の絵」(これがもうちょっと修正の余

地あり)から最新の「ピカソ」まで一遍に見られる。

私のように行間が空いていないので読みにくいかもしれないが、画像はわがマックよ

り美しい(ような気がする)。また、読みにくいといっても実にホームページらしく、

それがまたいい。

「画像なしの絵の話」も鋭利制作中とのこと、頼もしい限りである。

お礼が一切できない哀れな私をお笑いください。

近日中にページを整備して、しっかりリンクを張る!

もちろん上のところをクリックしても行けるばず。

私の方の更新は2000年度の自薦作品を11点選んだ。

「この絵なら売れるだろう!」と自信をもって発表したのだが、売れなかった絵であ

る。もちろん発表した絵には全部それなりの思い入れがある。このほかの絵にだって

それぞれ愛着もある。ま、しかし、あえて11点を厳選した。

近いうちに「2000年度他薦作品」のページも作る。こちらは売れた絵。こんな不

景気に私のようなドコウマ絵描き(どこの馬の骨ともしれない絵描き)の絵を買って

くださった方々の勇気と心意気に謹んで敬意を表する。心からお礼申し上げます。

 

ところで、先週のロダンの言葉だが、真なる絵画のなかにある「唯一なる美」、すな

わち「真実」「深い思想」「激しい感情」とはいったい何なのだろうか? そして、

「ラファエロの眼によって眺め、彼の手によって表現された、魂のえもいわれぬ晴朗

さ」とは、「彼の心からほとばしり出て一切の自然の上を流れ被うかのように見られ

る愛」とは、「この優情」とはいったい何なのか?

じーっと考えてみると、これがまったくわからなくなる。

やっぱり哲学とか宗教の分野なのか。

ロダンの真意はフランスのアカデミズムを批判したかったのだろう。目的はそこにあっ

た。そして、思いの丈を叫んだのだろう。その叫びのなかに絵画や彫刻の真諦があっ

たのだ。偶然でもあり、必然でもある。ロダン自身どれだけわかっていたのか疑問で

もある。少なくてもうまく口で説明できないんじゃないだろうか。だからこそロダン

は彫刻を作ったのだ。また、口で説明できても、それではやっぱり物足りない。我慢

できない。だから形に残したのだと思う。

しかし、「唯一なる美」「真実」「深い思想」「激しい感情」「魂のえもいわれぬ晴

朗さ」「愛」「優情」、このようなものは絶対にあると思う。ないんだとしたら、そ

れあまりにも寂しい。寂しすぎる。

 

週間アクセス数報告。3月第4週148。

 

次のなるびクロッキー会

4月4日(水)、14日(土)、5月4日(金)。

時間は午前10時から午後1時まで。

 

01年4月1日

ついに長女のパソコンでいろいろな方のホームページを見ることが出来た。長女は自

分のアルバイトの金でパソコンを買ったから、一番の安物である。プリンタもインター

ネットの接続もすべてセットで10万円以下。メーカーはコンパック。プリンタはカ

ラリオ。

そのプリンタでわがページの「ピカソ」を出力してもらったら、これがなんと美しい

ことか! わがアルプスは情けない。ちなみに私のパソコンは3年前で30万ほど。

確かプリンタも6万円は下らなかったと思う。

とにかくこれから毎週1回はみなさんのページを拝見します。

今日からトップページの新企画「けっこう知られていない地球や宇宙」を始めます。

 

新企画・けっこう知られていない地球や宇宙:地球を直径130cmのボール(小学校の運動会の大玉ころがしの大玉ほど)にすると、エベレスト山は0.8mm。

 

週間アクセス数報告:3月第5週158。3月月間582。

 

01年4月8日

「絵の話―第5集」を制作し始めた。これが案外骨である。できるだけ今週中に完成

させたい。とにかくでっち上げなければならない。金井画廊の個展が迫っている。金

井社長も金曜日に絵を取りに見えたし、月間ギャラリーで宣伝してくれるとのこと。

私は金を出さないのだからせめて労力だけでも提供しなければならない。もちろん絵

は出すが、これは当然である。プラスαの協力がしたい。「そんな心配せんでいいか

ら、いい絵を描け」と言われそうだが、私は忙しいほうがいい絵ができる。貧乏性な

のである。絵は今さらじたばたしたってそう変わるもんじゃない。第一、絵のほうは

まだまだ時間もたっぷりある。「絵の話」は早めに配っておいて予習をしてもらわな

いと、来場者数にかかわる。

みなさん、どうぞご高覧のほど、よろしくお願い申し上げます。

本日の更新は「2000年度他薦作品集」。2000年度に買っていただいた絵を並べました。

 

新企画・けっこう知られていない地球や宇宙:地球を直径130cmのボール(小学校の運動会の大玉ころがしの大玉ほど)にすると、エベレスト山は0.9mm弱。月はサッカーボールほど(直径34cm)。地球から38mぐらい離れた所で地球の回りを回っている。

 

週間アクセス数報告:4月第1週180。

 

 

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