8 牧 谿
牧谿の生没年はわかっていない。1280頃に活躍した禅画僧である。
蜀(中国四川省)の出身で、無準師範(1177〜1249)の弟子だった。
長江河口に近い西湖・六通寺の開山。
作品は中国や台湾にはほとんどない。すべて日本にある。
中国での評価も高くなかったという説もある。
日本では日本絵画の祖師とも言える絶対的評価を得ている。
日本美術に与えた影響は計り知れない。
私は全面的に牧谿を尊敬している。
深い墨の味わいをご堪能ください。
1《鶴図》国宝 13世紀末
絹本墨画 173.1×99.3p 京都 大徳寺
*羽毛のふわふわ感、首の筋肉。甲高い鳴き声が聞こえてくるようだ。
2《観音図》国宝 13世紀末
絹本墨画 171.9×98.4p 京都 大徳寺
3《猿図》国宝 13世紀末
絹本墨画 173.3×99.4p 京都 大徳寺
上掲3点は牧谿晩年の作であるという。
なにか若いころの楷書的作品と思えてしまう。
この大きな三幅対を見たら、
ほとんどの人が牧谿に驚嘆するだろう。
でも私は上掲三幅対ももちろん素晴らしいと思うけど、
牧谿の真価は以下に掲載する作品に見えると思っている。
いくら見ても見飽きない深い味わいがある。
4《煙寺晩鐘》国宝 13世紀末
紙本墨画 33.0×104.0p 東京 畠山記念館
4《煙寺晩鐘》拡大図
5《遠浦帰帆図》重要文化財 13世紀末
紙本墨画 32.3×103.6p 文化庁(京都国立博物館)
6《松樹叭々鳥図》13世紀
紙本墨画 78.5×39.0p 個人
*目が描いてある。
7《叭々鳥図》 13世紀
紙本墨画 53.6×30.5p 東京 五島美術館
8《竹雀図》重要文化財 13世紀
紙本墨画 84.9×30.9p 東京根津美術館
9《柳燕図》重要文化財 13世紀
絹本墨画 87.6×43.9p 愛知 徳川美術館
10《柿図》重要文化財 13世紀
紙本墨画 35.1×29.0p 京都 大徳寺龍光院
11《蘿蔔蕪菁図》 13世紀
紙本墨画 各37.5×64.8p 東京 宮内庁三の丸尚三館
12《芙蓉図》重要文化財 13世紀
紙本墨画 34.2×36.3p 京都 大徳寺
13《蜆子和尚図》 1250年中頃
紙本墨画 84.7×31.4p 個人
14《朝陽図》 14世紀?
紙本墨画 84.5×30.5p 文化庁
15《平沙落雁》重要文化財 13世紀末
紙本墨画 33.3×109.9p 東京 出光美術館
16《洞庭秋月図》 13世紀末
紙本墨画 29.4×93.1p 名古屋 徳川美術館
17《双鳩図》 13世紀
紙本墨画 67.5×29.8p 個人
17《猿候図》 13世紀
紙本墨画 140.4×67.8p 個人
*以前に書いた牧谿の記事です。あわせてご一読ください。
鶴と猿(水墨画の世界2)98/4/4更新